お金の歴史
お金の仕組みには意外な事実や矛盾や欠陥が多くあります。これは第一回勉強会の際にプレゼンをした『お金の歴史』をまとめたプレゼン資料です。画面表示が一部崩れている部分がありますがご了承ください。
現在のお金を巡る状況
現在のお金の仕組みは人類が数千年をかけて進化発展させてきたものです。
ですが「お金」とは、よく考えてみるととても不思議な存在であり、また調べてみると、とてもおかしな仕組みをしています。
現在では、借金をしたら利子をつけて返すのが当たり前と私たちは考えていますし、世の中の仕組みもそうなってます。ですが、よく考えてみると、全てのお金で買えるものは、時間と共に傷み、壊れ、時代遅れになり、時の流れによってその価値は下がってしまいます。
ところが、お金だけはインフレやデフレはあるものの、その価値は基本的に変わりません。痛む事も腐る事もありません。例え破けた紙幣を銀行に持っていっても、欠けた部分が多くなければまるまる全額紙幣に交換してくれます。
つまり借金をして利子をつけてお金を返すという事は、その時点でモノを買った値段以上に以上に、私たちがより多く働いてお金を稼ぎ、お金を返す事が前提になっているのです。
世の中すべての企業や事業はほぼこの仕組みで動いています。
では、私たちがより多く働いて稼いだお金は、いったいどこに消えて行くのでしょうか?
また、現在ではお金を株や債券に変えて投資をするのが当たり前となっていますが、投資には企業を応援や支援をする意味合いもありますが、誤解を恐れずあえて言うなら、企業を競走馬に例えたギャンブルとさほど変わらないものです。
このようなギャンブル的に使われるお金も、価値の交換や労働に対する評価の単位としてのお金も、同じお金が使われています。しかしいつの間にか世界はギャンブルに使われる為の「虚」のお金が大半を占めるようになり、労働や価値の創出などとはかけ離れた実態のないお金が大量に世界をかけめぐっているのです。
しかもこれはコインや紙幣などの形あるお金ではなく、金融システムというコンピュータネットワークにより取引される、実態を伴わない数字だけが、企業や個人の口座に出し入れされ、その数字の総量はひたすら膨脹し続けているのです。
また「お金があるだけ幸せ?」という疑問はよく議論される話題だと思います。
「お金が全てじゃない」、「世の中信じられるのは金だけ」等、人々の価値観は様々ですが、お金が全くなければ食べる事、人間らしい生活をする事すらままなりません。やはりお金は持っていないより、持っているに越した事はありません。
しかし現在のお金の仕組みでは、持っている者と持たざる者の格差はより開いています。しかし一生をかけても使い切れない程お金を持っている人は、普通の生活をする人の何倍も幸せかというと、どうもそうではない様です。
いつも自分のお金を奪われるのではないか、投資したものの価値が暴落するのではないか?人に騙し取られるのではないか?と、常に疑心暗鬼になりながら生きているのかもしれません。
一方で国そのものが貧しい地域に生まれた人は、食べることもままならず、教育も受けられないままで、貧しさから脱出する為のお金を稼ぐ手段も知恵も助けも無い人が大勢います。
お金とは何だろう
いったいお金とは何なのでしょう。お金は信頼であり、力の象徴であり、すべての価値を数値化したものでもあります。でも現在ではそのほとんどは金融システム上を流れるコンピューター上の数字に過ぎません。
人が便利さの為に生みだしたお金というシステムは、今や私たちをより働かせ、世界を賭場にし、多くの人を不幸にしつつあるのではないのでしょうか。
私たちは現在のいびつなお金の仕組みを多くの人に知ってもらい、より良いお金の仕組みを多くの人が考え提案して行き、世界をもうちょっとマトモで幸せな方向を向けるようにしたいと考えています。
エンデの遺言
私たちが現在のお金の仕組みに疑問を抱くよりはるか以前に、この問題の気づき、発言した人物がいます。『モモ』や『はてしない物語(ネバーエンディング・ストーリー)』などの作品で知られる作家のミヒャエル・エンデ氏です。
彼は亡くなる晩年に『現在のお金の仕組みには根本的に欠陥があるのでは?』と語っており、その発言を元に、1999年に日本である番組が作られました。それが『エンデの遺言』です。
この番組は翌年『エンデの遺言 根源からお金を問うこと』というタイトルで書籍化されました。書籍では暴走するお金というシステムの現状と、その欠陥の指摘、そして、地域通貨や減額する通貨など、これまでの『お金』とは異なる方法論に基づいた試みなどが多く紹介されています。
無限に増殖し続けるお金の総量
世界の資源は有限で、買ったものの価値は時間とともに目減りしてゆくものがほとんどです。しかし実はここ5年で金融資産の総額は2倍の140兆ドル(約1京7千兆円)にも膨れ上がっているそうです。にもかかわらず、ものを買うやり取りに使われているお金は全体の2割程度に過ぎません。8割は投資、つまりお金でお金を儲ける為に使われています。
地域格差を助長するお金のグローバリスム
地方にできた大型スーパーマーケットの利益は地域に還元されません。なぜならスーパーマーケットの利益のほとんどは都心にある本社に行ってしまうためです。全国のコンビニエンスチェーンなどでも、その収益額を聞くとすさまじいものがありますが、フランチャイズで店長をしている方は低賃金にも関わらず、休み無しで24時間働く状況を聞くとすさまじいものがあります。
利子が利子を生み、膨張し続ける借金
一枚の金貨の年利5%の利子は、2000年が経過するとで13億4千万倍にもなるそうです。ちなみに今、日本は多額の借金を抱えていますが、これを返すためにいろんなお金をやりくりした返済計画を立てています。しかしその計画にも、お金を借りることが必要な為、結局もっと多くの利息を未来の国民が負担する事になります。正直、国がサラ金で借金地獄に陥っている状態と大差がありません。
目先の利益が大事、持続可能なものには流れないお金の仕組み
利息は返済に時間がかかるほど、どんどん膨らみますので、長期的な計画と持続性が必要な環境問題などには、投資をしても回収の目処が立つまでに長い時間がかかるため、お金が流れにくいという状況を作りだしています。エンデが今の通貨体制に対し疑問を持ったのはもっともなことでしょう。エンデの遺言ではそんな現在を見越したかのように、様々な新しい通貨システムの試みが紹介されています。
『エンデの遺言』は現在でも動画サイトなどでも観る事ができますので、興味のある方は検索をして一度ご覧になられる事をお勧めします。